肩甲上神経ブロックとは

肩甲上神経ブロックは、肩の痛みを取る治療の一つです。

注射療法に分類され、患側の肩にブロック注射の針を刺入し、肩甲上神経まで局所麻酔薬を注入します。

痛みの伝わりを神経レベルでブロックできるため、強力な鎮痛効果をもたらします。肩関節周囲炎や石灰性腱板炎、肩腱板損傷などの肩に痛みが生じる疾患でブロックの適応になります。

肩甲上神経ブロックの方法

肩の肩峰と呼ばれる部位からやや内側、肩甲棘と鎖骨の間を医師が触れ、23ゲージの細い針で注射針を刺入します。

患者様はベッド上で座位になり、刺入する肩を露出していただく必要があります。針が皮膚に刺さる瞬間にチクっとするのと、薬液が入るときに肩に重い痛みが出ることがあります。

ブロックが終了すると5分ほどで肩の痛みが消失します。肩関節周囲炎を治療する場合、通常3〜5回程度のブロックが必要になります。

肩甲上神経ブロックの合併症

肩甲上神経ブロックには注意すべき合併症があります。

軽微な合併症

  • 肩甲上神経麻痺(腕が上がりづらくなりますが、1〜2時間で回復します)
  • ブロック針を刺したところからの軽い出血
  • 皮下出血、あざ
  • 消毒薬に対するアレルギー(皮膚の発赤)

重篤な合併症

  • 局所麻酔中毒(10000例に1.2〜11例程度)
  • 血管内注入
  • 気胸

当院では、肩甲上神経ブロック後には重篤な合併症を早期に発見するため5分ほど処置室のベッドでお休み頂いております。ご自宅に帰られて何か異常を感じた際には、当院までご連絡をお願いしています。

肩甲上神経ブロックQ&A

Q:ブロック注射はすごく痛そうですけど大丈夫でしょうか?

A:針は細いものを用意しておりますので、激痛ではありません。医師や看護師が優しく声をかけながら注射を進めていきます。

Q:何回打てば治るの?

A:急性の肩関節周囲炎であれば、通常1回で注射は終了にできます。慢性の肩関節周囲炎の場合、複数回のブロックが必要になるかもしれません。長期間にわたりブロックを継続する必要がある場合、他の治療をご紹介することがあります。

Q:血液サラサラの薬を飲んでるけど、肩甲上神経ブロックはできる?

A:深部の神経ブロックではないため、可能です。