脊柱管狭窄症とは

脊柱管狭窄症とは、脊柱管が周囲の靭帯の肥厚や腰椎の変形などによって狭まり、神経根や馬尾を圧迫し、腰痛、下肢痛、下肢のしびれ・筋力低下、膀胱・直腸障害を引き起こす疾患です。

この病気は、60歳以上の人に多く見られます。症状は、背中を後方に伸ばしたりすると増悪し、反対に前方に屈むと和らぐことが知られています。これは、前屈することで脊柱管後方の黄色靭帯が伸展され、狭窄が解除されるためです。

また、歩行したり長時間立位でいることで症状が誘発されます。これを間欠性跛行と呼び、脊柱管狭窄症の最大の特徴となります。注意すべき点として、他にも閉塞性動脈硬化症があるため、医師による丁寧な診察が診断には不可欠です。

腰部脊柱管狭窄症の治療

脊柱管狭窄症の治療は、以下の方法があります。

1.薬物療法

症状を緩和するために、消炎鎮痛剤、プレガバリン、リマプロストアルファデクスなどを使用します。消炎鎮痛剤には、アセトアミノフェンや非ステロイド性消炎鎮痛薬があります。プレガバリンは神経障害性疼痛に効果があります。当院では、漢方薬による治療も行っており、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)や疎経活血湯(そけいかっけつとう)を用いています。

2.リハビリテーション

リハビリテーションでは、体幹部や下肢の筋肉の張りを和らげるために、ストレッチや筋力増強訓練を行います。

痛みによって筋肉が過剰に緊張している場合もありますが、リハビリテーションによってその症状を改善することができます。また、腰痛が強い場合には、局所的に安静をとるために腰部にコルセットを使用することがあります。

3.ブロック療法

腰部脊柱間狭窄症に対しては腰部硬膜外ブロックなどが有効であり、薬物療法やリハビリテーションが無効な場合に行います。

4.外科的治療

これらの保存療法を2〜6ヶ月間行っても症状が消失しない場合、外科的治療が考慮されます。また、発症初期であっても、下肢の著明な筋力低下・感覚低下、膀胱・直腸障害を認める場合は緊急手術となることがあります。

脊柱管狭窄症には、早期の治療が大切です。症状がある場合は、早めに専門医に診てもらいましょう。

まとめ

腰部脊柱管狭窄症は、薬物療法、リハビリテーション、ブロック療法をはじめとする保存療法がまず選択されます。

これらの保存療法によって症状が消失しない場合、外科的治療が考慮されます。また、発症初期であっても、下肢の著明な筋力低下・感覚低下、膀胱・直腸障害がある場合は緊急手術が必要です。

治療の選択肢は多岐にわたりますが、医師による丁寧な診察を受け、最適な治療法を選択しましょう。

*:Suzuki Y, et al. Antinociceptive effect of Gosha-jinki-gan, a Kampo medicine, in streptozotocin-induced diabetic mice. Jpn J Pharmacol. 1999;79:169-175.