頚肩腕症候群とは

頚肩腕症候群とは、名前の通り、首、肩、腕に痛みが現れる症状のことです。症状の集合体であり、病名ではありません。痛みが中心的な症状ですが、重だるさや頸部可動域の低下、腕のしびれなど、様々な症状が現れます。

原因は様々ですが、多くの場合、首の筋肉が緊張して起こる首の曲がり角度が少なくなる「ストレートネック」と呼ばれる状態が原因とされます。他にも、変形性頚椎症や頚椎椎間板ヘルニアなどの疾患も原因となることがありますが、発症頻度は非常に低いです。

症状を和らげるためには、原因を正確に把握することが非常に重要です。治療には、理学所見や頚椎レントゲン所見を基に原因を診断し、適切な治療を行います。

 

頚肩腕症候群の原因とは?

頚肩腕症候群には、筋肉由来と頚椎由来の2つの原因があります。

 

筋肉由来の頚肩腕症候群の原因は、筋筋膜性疼痛症(MPS)です。長時間のスマートフォン利用やデスクワークなどによって、頚部の筋肉が収縮し、痛みを引き起こします。また、前かがみの姿勢も筋緊張を強め、MPSを引き起こす原因となります。

 

頚椎由来の頚肩腕症候群の原因は、椎間関節痛、変形性頚椎症、頚椎椎間板ヘルニア、頚部脊柱管狭窄症などが挙げられます。頚椎には左右8対の椎間関節が存在し、この周囲には脊髄神経から伸びる細い神経があります。炎症や物理的な障害などによって、椎間関節周囲に痛みが生じることがあります。頚肩腕症候群の症状を抱えている場合は、早期に治療を受けることが大切です。

 

頚肩腕症候群は、痛みだけでなく、しびれや筋力低下などの症状も引き起こすことがあるため、放置しておくと症状が悪化することがあります。
症状が軽度の場合は、運動療法や物理療法が効果的です。

 

しかし、症状が重度化している場合や、手術が必要な場合もあります。椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの場合は、手術を行うことで症状を改善することができます。手術を受ける際には、専門医の診断や治療方針をしっかりと確認し、不安な点は遠慮なく質問することが大切です。

 

頚肩腕症候群の予防には、正しい姿勢の維持や、適度な運動、ストレッチ、マッサージなどが有効です。また、スマートフォンやパソコンの使用時間を減らしたり、頻繁に休憩を取ることも大切です。定期的な健康診断もおすすめです。

軽頚腕症候群の治療

頚肩腕症候群の治療には、薬物療法、リハビリテーション、ブロック療法があります。

薬物療法

薬物療法では、頚肩腕症候群の症状を軽減するために、消炎鎮痛剤や筋弛緩薬、漢方薬を使用します。消炎鎮痛剤には、アセトアミノフェンや非ステロイド性消炎鎮痛薬が用いられます。また、頚肩腕症候群には、筋肉の緊張が原因の場合があります。この場合は、筋弛緩薬を用いることで筋肉の緊張を和らげます。漢方薬には、頚肩腕症候群に効果があるものがあり、症状に合わせて処方されることがあります。

ただし、薬物療法には副作用があるため、医師の指示に従って適切な薬剤を使用するようにしましょう。また、腎機能障害や肝機能障害がある場合は使用できない場合があることに注意しましょう。

リハビリテーション

リハビリテーションは、頚肩腕症候群の症状を軽減するために、頚部の筋肉の緊張を和らげるための手法を用いる治療法です。具体的には、ストレッチや頚部にコルセットを使用することがあります。これにより、頚肩腕症候群による痛みや違和感を軽減することができます。

ブロック療法

ブロック療法は、頚肩腕症候群の症状を和らげるために、患部に注射を行う治療法です。頚肩腕症候群に対して有効なブロック療法には、トリガーポイント注射、椎間関節ブロック、星状神経節ブロックがあります。

 

  • トリガーポイント注射: 医師が患部を触診し、筋硬結を触れたところ(トリガーポイント)に注射します。通常、トリガーポイントには圧痛を伴うことが多く、症状のある部位と一致しています。筋肉と筋膜の間に針の先端を位置させ、薬液を注入します。
  • 椎間関節ブロック: トリガーポイント注射よりも深部にまで針を刺入し、椎間関節内に局所麻酔薬を注入します。これにより、頚肩腕症候群による痛みを和らげることができます。
  • 星状神経節ブロック: 頚部周囲に分布する交感神経の根元をブロックすることで血流を増加させ、痛みを軽減します。

 

以上が、頚肩腕症候群に対する治療法になります。

 

まとめ

頚肩腕症候群は、頚・肩・腕に痛みが出る症候群です。
原因は多岐に渡り、頚椎レントゲンが必要。治療には、薬物療法、リハビリテーション、ブロック療法があり、専門医が適切な方法を選択する必要があります。