慢性腰痛は、発症から3か月以上続く病気で、生活の質に大きな影響を及ぼします。

腰痛は原因によって種類があります。最も一般的なのは「非特異的腰痛」ですが、線維筋痛症や神経障害、筋肉骨格系の問題などもあります。

かつては「年齢のせい」「治らない」とされていた腰痛も、原因を特定することで、治療が可能になってきました。

痛みに耐える時代は終わり、今は痛みを自分でコントロールすることができます。

慢性腰痛の原因

慢性腰痛の原因は多岐にわたります。以下に、慢性腰痛に関連するものを列挙します。

一次性慢性疼痛

・広汎性一次性慢性疼痛(線維筋痛症など)
・局在性一次性慢性疼痛(非特異的腰痛など)

がん性慢性疼痛

・がんと転移による慢性疼痛(脊椎腫瘍、転移性脊椎腫瘍など)
・抗がん剤による慢性疼痛(神経障害など)
・がん手術による慢性疼痛
・放射線治療による慢性疼痛

術後痛および外傷後慢性疼痛

・術後慢性疼痛(FBSSなど)
・外傷後慢性疼痛(むち打ちなど)

慢性神経障害性疼痛

・末梢性神経障害性疼痛(椎間関節性腰痛など)
・中枢性神経障害性疼痛(脊柱管狭窄症、ヘルニアなど)

慢性筋骨格系疼痛

・持続する炎症による慢性疼痛
・骨関節の構造的な変化に伴う慢性疼痛(変形性脊椎症)
・非特異性慢性疼痛(筋筋膜性腰痛症)

慢性腰痛の治療

慢性腰痛の治療には、薬物療法、リハビリテーション、ブロック療法の3つがあります。

薬物療法

慢性疼痛の治療には、さまざまな種類の薬があります。

消炎鎮痛剤は、炎症が原因でない場合には効果がないことが多いため、注意が必要です。中枢神経に関わる慢性疼痛の場合、脳や脊髄に作用する薬がよく使われます。

トラマドールはオピオイド受容体に作用して鎮痛効果を発揮します。プレガバリンは脊椎の神経伝達を抑える作用があり、ノイロトロピンやデュロキセチンなどの薬は下行性抑制系神経を活性化させる作用があります。

これらの薬は通常の急性痛にはあまり使われませんが、慢性疼痛の治療には欠かせません。

リハビリテーション

腰痛のリハビリテーションには、多くの場合、筋力トレーニングが用いられます。
具体的には、体幹部の筋肉を鍛えることで、筋緊張を和らげるようにストレッチを行ったり、体幹部を支えるための筋力増強訓練を行います。

これは、年齢を重ねると筋繊維が細くなり硬く緊張してきます(サルコペニア)ため、サルコペニアが原因で起こる慢性炎症や痛みを軽減するために行われます。

また、筋肉の柔軟性を高め、筋肉量を増加させることで痛みを緩和することができます。

ブロック療法

非特異的腰痛や筋筋膜性腰痛に対しては、トリガーポイント注射が有効です。

トリガーポイントとは、筋肉中にある硬結した部位のことで、圧痛を伴うことが多く症状のある部位と一致しています。

医師が症状のある部位を触診し、硬結している筋肉に注射します。この注射法は、筋肉と筋膜の間に針を挿入し薬液を注入することで、痛みを軽減することができます。

さらに、神経障害が原因である腰痛(椎間関節性腰痛、脊柱管狭窄症、ヘルニア)に対しては、硬膜外ブロックが使用されることがあります。

この方法は、圧迫され過活動となった神経に対して局所麻酔薬を使用し活動を抑制することができます。

また、発痛物質と呼ばれる痛みを伝える物質を洗い流して新たな痛みを抑える働きがあります。しかし、硬膜外ブロックは神経障害を治すことはできませんが、痛みの緩和には効果的です。

まとめ

慢性腰痛は3か月以上続く病気で、多岐にわたる原因があります。治療法には、薬物療法、リハビリテーション、ブロック療法があります。痛みを自分でコントロールすることができるので、痛みに耐える必要はありません。