肩関節周囲炎(五十肩)について

肩関節周囲炎(五十肩)とは、最も一般的な肩の痛みの原因となる疾患です。医学的には、「肩」というと肩関節を指しますが、首から肩関節までの部分は僧帽筋部と呼ばれ、肩ではなく首の症状であると判断されます。ここでは、肩関節周囲炎について説明します。

 

肩関節周囲炎は、何らかの原因(多くは肩腱板損傷や外傷)により、肩関節の関節包(袋状の組織で肩関節を滑らかに動かすのに役立つ)に炎症が生じて引き起こされる疾患であり、発症すると、肩関節の痛み、夜間痛、関節可動域低下などが生じ、生活の質(QOL)が著しく低下します。

 

肩関節周囲炎は自然に治癒する疾患ですが、治癒に至るまでの期間に個人差があり、症状の長い方では数ヶ月から数年かかる場合があります。当院では、患者様に合わせた幅広い治療選択肢をご用意していますので、積極的な加療をお勧めしています。

 

肩関節周囲炎の病期

肩関節周囲炎は、大きく3つの段階に分かれます。

  1. 急性期: 発症初期2週間くらいまでの間がこの段階にあたります。炎症が最も強く、痛みが強く、時には夜間痛を伴います。この時点では、関節の可動域が低下していることは少なく、他動的に動かすことができます。

  2. 慢性期: この段階は、発症後だいたい6ヶ月くらいまで続きます。徐々に炎症は収まりますが、関節包内で癒着(組織同士がくっつくこと)が生じ、可動域が制限されます。

  3. 回復期: この段階は、治癒に至るまでの期間にあたります。回復期に入ると、癒着は徐々に消失し、可動域が増加します。しかし、回復期への移行には個人差があるため、症状の持続に大きく影響します。

 

肩関節周囲炎について正しい診断、治療、理学療法を受けることで、各段階での症状の管理や肩の可動域の改善が期待できます。

肩関節周囲炎(五十肩)の治療

治療には、炎症を抑えるために消炎鎮痛薬が処方され、初期は外用剤を使いますが、症状に応じて内服薬に切り替えることもあります。また、リハビリテーションにより肩関節の拘縮を予防し、可動域を増やして余分な筋緊張を和らげることで疼痛を緩和します。

 

さらに、肩関節由来の激しい痛みには、肩甲上神経ブロックが行われます。局所麻酔薬で肩関節を動かせるようにし、痛みの緩和や可動域の増加を図ります。また、星状神経節ブロックでは交感神経の根元をブロックすることで、肩関節周囲の血流を増加して痛みを和らげます。

 

肩関節の炎症を抑えるために、肩関節にヒアルロン酸注射を行うことがあります。注射は、関節内に直接行うか、関節包の外側にある滑液包に行うことができます。

 

当院では超音波診断装置を用いて滑液包内に注射する方法を採用しています。超音波で針先を確認できるため、注射の精度が向上し合併症のリスクが減ります。さらに、治療効果が十分でない場合や生活の質が低下した場合には、C5神経根ブロック下の非観血的肩関節授動術が行われます。

 

神経ブロックを行い、医師が肩関節を動かすことで、癒着を剥離して治療する方法です。手術が必要だった患者にとって、第3の治療法として近年注目されています。治療には、患者の症状や病歴などを十分に評価し、最適な方法を選択することが重要です。

五十肩は、適切な治療を受けることで改善されることがあります。早期に病院を受診することで、症状の進行を抑えることができます。

 

しかし、治療が遅れると、肩関節の可動域が制限され、生活に支障を来すことがあるため、早めの受診が必要です。また、治療後も、日常生活での姿勢や運動の注意が必要です。運動不足や過剰な運動も、肩関節周囲炎の原因となることがあるため、適度な運動を心がけることが大切です。

まとめ

五十肩は、適切な治療を受けることで改善されることがあります。早期に病院を受診することで、症状の進行を抑えることができます。しかし、治療が遅れると、肩関節の可動域が制限され、生活に支障を来すことがあるため、早めの受診が必要です。

 

また、治療後も、日常生活での姿勢や運動の注意が必要です。運動不足や過剰な運動も、肩関節周囲炎の原因となることがあるため、適度な運動を心がけることが大切です。